私の好きな漫才 〜ベテラン・若手篇

存命の人で一番好きなのは、あした順子・ひろし。「ふたりの歳をたすと151歳」だそうな。漫才って歌だな、と感じさせてくれる人たち。お決まりのやりとりでも、何度でも聞きたい。いつでも暗唱できる。試しに書いてみようか。「あらあなた、いい体してるわ。針金いりじゃない」「筋金入りだろ」、「夫婦じゃありません。師匠と弟子です。こちらが師匠で私が大師匠」「なんでそう逆らうんだ」「援助交際じゃありません」「当たり前だい」「介護交際です」…キリがないや。軽妙なやり取りに加え、ふたりのキャラはたってるし、ひろしさんのはかなげな表情、珍妙なダンス、2人の歌声、と魅力は尽きない。
中田カウス・ボタン。ダイマルラケットの弟子。ベテランの余裕なのか、なにがなんでもウケさそうという気迫が無く、だから逆に笑ってしまう。いい加減な感じがいいです。けっこうアドリブも多いらしい。ときどきダイラケのネタをやっています。
爆笑問題。もはや若手といっていいのか。相対的に考えると、やっぱりうまい。たしか山藤章二あたりが言っていたのは、「田中は正面を切れる」ということ。つまり、客に向かって話せる。意外とできないことだ。ともかく、太田と観客をうまくつないで回している。で、太田。彼が偉いのは(と言ってる私がよっぽど偉そうでスイマセン)、過去や、別の人とつながろうとしている意識。立川談志と共演したり、高村薫向田邦子について取材を受けたりしている。
近頃は、おぎやはぎ。好きなんですよ。すごい地味。淡々と話しているだけ。なのに面白い。小木のとぼけた雰囲気と、矢作のひねった静かなツッコミ。ふつうなら「違うだろバカ」と言いそうなところを、「どうしても?」とか「自分の物差しで測るなよ」など。あえて抑えてやることで、もっと面白くする感じ。「ただ歌いたくて」がとても好き。歌う前に「ワン、ツー…」とカウントするのがうまくできないという、ただそれだけのネタ。
南海キャンディーズ。去年のM-1、たまげたね。よく言われるように、優しくて面白い山ちゃんのツッコミ。とにかく強烈なしずちゃん。たしかに火を怖がるサイがいたよ。さーて、今年は。キャラの新鮮さだけで売れなくなってきたとき、どうでるか。
あと、ますだおかだはよかった。アンタッチャブルは…。確かに面白いし、すごいし、事実よく観てるんだけど、うーん…。アンジャッシュはむしろ漫才っぽい。交通事故と携帯電話のとか、よくできていた。