国宝三昧 2

sandayu2007-02-11

一人旅だから、意思決定から行動までの流れがとても速い。あちこち回った。
1日目、朝飯(※1)食べて南禅寺山門、美術館前辺りから四条大宮でのりかえてバスで太秦方面へ。広隆寺、タクシーで仁和寺、バスで竜安寺金閣寺、バスで大徳寺、今宮神社、徒歩で某和菓子屋、バスで戻って錦通り、四条通り、三条大橋の横のスタバで一服、夕食、八坂神社、祇園あたりをぶらぶらして帰る。
2日目、二条城、錦通り、八坂通り、八坂の塔、ねねの道、昼食、円山公園知恩院、買い物(箸、民芸品、お茶、和菓子)、時間が無くてタクシーで某和菓子屋、翻って八百屋、荷物取りに戻って夕食、帰京。
  ※  ※
広隆寺弥勒菩薩がよかった。仏像の心得はまるでないのだが、それでも違いが分かった。見事。ずっとみてても飽きなかった。
(広隆寺)
南禅寺知恩院の山門が立派だった。
(南禅寺)(知恩院)
東大路通りから八坂通を通って塔を目指すルートもとてもよい。月並みだがタイムスリップしたような心持がする。
二条城を観て、「やはり都だなぁ」と知ったような感想を抱いていた。
  ※  ※
それにしても、外人さんと修学旅行生のうるさいことうるさいこと。
  ※  ※
ろくに調べないのが悪いのだが、定休日にやられた。今宮神社ちかくであぶり餅を食べようと思ったら、定休日。
 →  →orz。
八坂の塔は「本日閉山日」。
夕飯を食べに行こうと思った店が見つからず、電話かけてみたら「今日は用があって早く閉めたんです」。
「orz」であった。
  ※  ※
恥ずかしいので名前は伏せておくが、某和菓子屋できんとんなどの生菓子を予約。とてもデリケートなもので、乾いちゃうし、持ち運びで崩れるといけないと思って、店を出てちょっといったところの路地でさっそくぱくり。…と、さっき応対してくれたおかみさんが、店の奥のご自宅のベランダから洗濯物を取り込みに出てきて、なんと目があった。「店の中で食べていきなはれ」。
という訳で、「たいへんお恥ずかしいです。…でも、早く食べたほうがいいと思って」「そりゃそうですわ」というやりとりをしながら店先の端をちょっとお借りして、お茶まで出していただいて、食べた。頼んだ4つ全部。…これ、かなりの量である。おかみさんもびっくりしていた。
肝心のお味はというと、ちょっとびっくりしてしまうくらい美味しかった。あんまり美味しかったので、「また明日同じくらいの時間に来ますので、同じものをお願いできますか」と、さっそく予約。
で、次の日。閉店時間間際に駆け込むと、今回はご主人が登場。普通に購入のやり取りをした後、ご主人、「表で食べはるなら、そこで食べてもらってかまいませんよ」「あ、聞いていらっしゃいますか」「ええ、家内から」。ふたたび恐縮しきりながら、お言葉に甘えて、またお茶を頂戴して、さっそく店先でいただいた。
食後、おかみさん登場。「あらぁ、また4つ食べはった?」「えぇ。美味しかったです」「昨日主人に話したんですけど、『4つ? へぇー』って言ってましたよ」「ゆっくりいただきたいのはやまやまなのですが、なかなか来れれないもので」「いえいえ、ありがとうございます。また寄ってください」
たぶん、たぶんだけど、気は悪くせず、むしろ喜んでいただけたと思う。美味しかったことと感謝の気持ちを繰り返し、辞去。
  ※  ※
これも名前は伏せておくが、あるところに煎茶を買いに行った(※2)。どういれるかの加減を聞いていたら、ご主人が登場、作務衣姿のかくしゃくとした初老の紳士で、実際にやってみせてくれた。「ほれ、持ってみ、この温度や」「はい」「お茶っぱはこれくらい」「はい」「うん、飲んでみ」「美味しいです」。
ついでに話は広がって、いろいろ教えてくれた。お抹茶までたててくれたりして。「若いのに殊勝なこちゃ」というご好意だろうか。「ただ買いに来ただけのお客さんには何も言いません。「おおきに」ってこれでしまいや」…というのは、一種のリップサービスでもあるのだろうが、おかげさまで楽しい時間を過ごさせてもらった。ありがたい。
  ※  ※
何軒か入ったが、京料理が美味しい。野菜がうまい。特にここ数年、料亭や市の主導で、有り体に言えば京野菜のブランド化が進んでいる。ま、結果的に美味しいものが出回るならいいことだ。
市内を出歩いていると、お土産屋ではない地元の人の普段使いの八百屋さんでも普通に京野菜がおいてあった。よし、買っていこうと思って、店先で「大根とにんじん1つずつ」。「重いよ」といわれてもってみると、なるほど、けっこうかなり重い。泣きながら新幹線に乗って持って帰ってきた。ずいぶんはるばるとしたお使いだ。
 (左がにんじん、右が大根。DARSは比較用)
淀だいこんとか聖護院だいこんと呼ばれる丸大根は、煮込んでも煮くずれせず、それでいてとろける味わいが特徴。金時にんじんは、正確に言うと京都で伝統的に栽培されてきた史実は見つかっていないようだが、鮮やかに赤く甘いお味はいかにも和食にあう。

じぶ煮にしてみた。うまかったぁ。
  ※  ※
東京は、明治維新関東大震災東京大空襲、高度経済成長という歴史の中で、ことごとく変貌してきた。
京都三条大橋へは、日本橋から西へ約500kmである。
太田南畝の旅日記『改元紀行』によれば、駕籠に乗り京都まで12泊13日かけたことが分かる。いわゆる『忠臣蔵』では、殿中での刃傷沙汰を国元に知らせるため家臣の菅野三平が早駕籠を飛ばし、赤穂(兵庫県)まで107時間で走破したとされている。途中の京都までは3日半(約87時間)というから、当時としては猛スピードだったに違いない。(http://www.nucpal.gr.jp/website/support/kagakugijutsu/kagakugijutsu_04.pdf
現在、新幹線のぞみを使えば、東京京都間は2時間半もかからない。
京都は、日常会話に「雨降ってきたん?」「時雨れてきたわ」というやり取りが残り、また似合う街であった。

                                                                      • -

※1 たいをほぐしたの、もずく大根、豆腐、ゆば、ほうれん草油揚げ、瓢亭玉子、押し寿司、サーモン、栗、うずらがゆ、白味噌
※2 お茶葉は4人分で1回10グラム程度。お湯は一度冷ましてもどしたくらい、70度。2煎目まで。開封後は野菜室保存。幅と物差しを作る。作っても、相手に押し付けず相手の物差しで考えるのが思いやり。珈琲は興奮する。お茶は落ち着く。じわーっといい考えが浮かぶ。