非日常という日常

起床後1時間も経たぬ間に、床屋の席に座っていた。今週の目標は髪を切ることだったから、早くも達成された。これで、伸びて邪魔だったえり足ともおさらばだ。少しは作業効率も上がるだろう。…たぶん。
バス停で、古い知り合いと立ち話をした。彼女はもうすぐ外国へ発つ。ふたたび。ちゃんと喰え。
昼飯を食べに行ったら、なぜか、百人一首の話になった。あの歌がイイ、この歌の上の句なんだっけ、というような。このへんが文学部なのだ。書き出された歌を眺めながら、「これ響きがいいよネ」と言ったら、「内容もキャラにあってるよ」というようなことを言われた。ちなみに、

あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む

です。…ふんっ。ところで後輩がバイトしていた。さすがに無理難題をふっかけて意地悪するのはやめた。
23時をまわると、駅前の店もほとんどしまってしまうので、モスにいって玄米フレークシェイクを食べてから帰宅した。今日もけっこう働いたから、こうでもしないとやってられない。最近似合わず真面目さんじゃないですか、私。
長らく、「いまは非日常なのだ」と思ってきた。これは非日常だ、頑張ればそのうち平穏な日常が戻ってくる、きっといつかのあの頃が戻ってくる、そう言い聞かせて、乗り切ってきた。が、こうも長く続くと、非日常が日常となる。ようやくちょっとヒマができても、さーて何をやるかと困ってしまうくらいだ。だいたい、「いつかのあの頃」っていつなんだ。「やらなきゃ」に追われていた結果がこれか。
なんてことはない、それはいつだって日常だったし、これからも日常なのだ。いつだってエキサイティングだし、同時にどうも退屈だ。昨年までの3年間、さんざんぐうたらしていたのだから、これで帳尻があうってもんでしょうさ。だいいち勤め人に比べれば、ずいぶん気楽な甘ちゃんどらんにちがいない。
あー忙しいとひーひー言っている人の姿を見ながら、ずっとどこかで「違うよなー」と思ってきたものだ。ちょっと前の私は、今の自分を許してくれるだろうか。苦笑まじりでもいいから。