かけこみ2008年 Part3

sandayu2008-12-30

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邦題が好みなのと、監督が『十二人の怒れる男』で有名なシドニー・ルメットなのとで観に行った。原題も『Before The Devil Knows You're Dead』とカッコイイ。
イーサン・ホークもわりと好きだし。兄役で見事に性格悪そうなフィリップ・シーモア・ホフマン、初めて見ると思ったら、なんと!『セント・オブ・ウーマン』にでていた。歳とったなぁ。『セント…』でも嫌な奴の役だった。
西川美和が「BRUTUS」の中で「暗くて救いのない作品なんです。」と紹介してた通りで、もがけばもがくほど悪い方にいき、破滅に向かっていく様は壮観。とにかく重くってチャラチャラしてなくてよい。音楽怖いし。行ったり来たりする展開も面白いし。出てくる人みんなひと癖あるし。外人の顔覚えられないから、「あ、あの人とこの人同一人物?!」と余計に楽しめたし。好きな作品。

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テレビ版は殆ど観て無いんだが、原作が好きだったので観にいった。わりとテレビの映画化の割りに抑制が効いててよかった。
品川がでてくるとか、雪が降ってくるとか、(私にとっては)ムダで邪魔としか思えない、テレビでいえば視聴率稼ぎみたいな?のって、本当に有効なのだろうか。事務所との付き合いなのかしら。
…で、あらためて原作を読み直してみたんだが、別物で比べるものでは無いと分かっていながら、やっぱり小説の方がいいね。映画では完璧に堤が主人公みたいになっちゃってたけど、原作では、石神(堤真一)と花岡(松雪泰子)の関係を縦糸に、石神・湯川(福山雅治)・草薙(北村一輝)という同期同士のつながり、有り体に言えば友情という横糸があるから、物語に深みが出ているように思う。
当然ながら小説の方が細部が凝ってるしね。殺害時、あんなにドッタンバッタンやってたら、隣だけじゃなくて下の階の人が気づくだろう…と観ながら思ってたんだが、小説読んだら一応その辺にも配慮されてた。

ところで。
映画の中でも「僕がこの事件の真相を暴いたところで、誰も幸せにはならない」と語られてる通り、「その土曜日、7時58分」「容疑者Xの献身」2作とも、程度の差あれ展開が悪い方に悪い方に行く。当然ながら誰もが自分の幸せを願っていて、できれば周りの人にもそうあってほしいと思っているはずなのに、もがけばもがくほど事態はうまくいかない。
話の中の話だと割り切ってしまえばそれまでだが、大なり小なり共感を呼ぶあたり、日常生活と無関係な感情では無いだろう。
いったいどこで袋小路に入ってしまったのか、どうすればいいのか、考えてみるのは「実に面白い」、が、「さっぱり分からない」。