佐藤優、森健、有島武郎

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

古くからの知人は分かるかもしれないが、私は政治とか経済とか、いわゆる社会科学系の話を殆どしない。それは興味が無いからとも、知識がないからともいえるが、何を信じてよいか分からないからでもある。
例えばタブロイド紙の芸能ニュースなら、どの程度話半分に聞けばいいのかや、論理展開の無茶さはある程度把握でき、分かった上で読んだり楽しんだり出来る。
が、たとえば政治家の発言についての記事やニュースとなると、途端に怪しくなる。まずテレビや新聞が、論旨をふまえて適切に引用しているか判然としない。あるいは、テレビでよく使われる表現「○○氏は△△と述べ、××という見方を示しました」で、自分にはどうしても△△が××を意味しているとは思えない場合があったりする。そして、そもそも政治家の発言を額面どおりに受け取っていいかという疑問もある。「物議を起こそうと敢えてそういう言い方をしているのでは?」みたいな懸念である。
…前置きが長くなったが、普段から感じている思いを、本書を読んで殊更つよく感じた。数年前、鈴木宗男氏と同時期に逮捕された外務官僚佐藤優氏による、メディア報道とはまったく違う内情の主張である。本当のところがどうであるかはさておいて、検察官との駆け引きや、ロシアの内政事情やイスラエルとの関係など、単純に面白かった。
ところで、ロシアの政治家は皆大酒飲みで、飲みまくらない人間を信用しないんだそうな。そんな心配は無いが、対ロシアの外務官僚にならなくてよかったと、切に感じた。
グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

  • 民主主義は互いの利益を尊重しつつ、妥協点を探る仕組みや過程自体にあるはずだが、Webではしばしば過激な意見に傾く。たとえば「沈黙の螺旋」(=その場でわざわざ反対意見を述べて論争を招かないようにする結果、その意見の賛成意見ばかりが強化される)に因るもの。
  • 見たことあるものにつられる。結果、発言量の多さにつられる。

一房の葡萄 他四篇 (岩波文庫)

一房の葡萄 他四篇 (岩波文庫)