司馬遼太郎

燃えよ剣(上) (新潮文庫)

燃えよ剣(上) (新潮文庫)

司馬遼をまともによんだのは初めてである。なるほど、面白い。
話が大きくなる前、たとえば七里研之助との決闘シーンなど、とても楽しい。独特の文章は癖になる。たとえば、五稜郭のシーンなど、ドラマチックに描く筆致は流石。
巷間では司馬歴史観という大掛かりな呼ばれ方もされてしまうようだが、彼の作品は、恐らく司馬遼太郎個人の生い立ちや考え方および生きた時代と切り離せないのではないか。すなわち、太平洋戦争を非とし、明治維新に光明を見出そうとした(らしい)動機、連載時期の60年代という時代性、である。