Time is the great author3 ワルツ

記憶と英語力が確かならば、元のセリフはこうである。チャップリンの「ライムライト」にでてくる。

Time is the great author, always writes complete ends.

我らが学科長のいつかの挨拶を思い出す。「あっという間ですから。3年生はあっという間だし、4年生はもっとあっという間ですから」。たしか、そんなような主旨だった。
何度となく髪を切りにいき、何度となくサンデーの発売日はやってきた。疾走している間に花粉症も五月病も通り過ぎて、終始バテながら夏も過ぎた。思えば、一度もプールに行かなかったのは久しぶりだ。日々のひとつひとつに、「学生生活最後の…」という冠をつける余裕はない…、いや、これは意識的に回避しているのかもしれない。
チャップリンのセリフに反し、おしまいはやってきていない。就活関係の話も、卒論の打ち合わせも、原稿のほうの打ち合わせも、今週いっぺんにやってくる。あいにくおしまいなんてない。いつも、区切りでしかない。
かといって、いつもおんなじということもない。時間は、奥行きである。あるものを深め、あるものを変え、そして風化させる。どこで区切ったってそれなりにカッコがついている。悲しみも、いつまでもおんなじようには悲しくない。なるほど、偉大な作家だ。それはいつだって完璧な終末にちがいない。

私は昔からたったひとつのことを言いたくて小説を書き、そのことをもう言いたくなくなるまでは何が何でも書き続けたい。(「キッチン」のあとがき)

一緒にするのはおこがましい話だが、主観的にはずっとそんなようなことを思って、ここを書き続けてきたような気がする。軸は、ありつづける。
頭痛は若干よくなってきたが、今度はたいそう眠くて仕方がなかったので、相変わらず作業をほったらかしのまま、『白河夜船』を読み直していた。さて、私も少しはマシになれたのやら。