Time is the great author

何でもできると信じていた。「できない」んじゃない。「やらない」だけだ、と。
今でもそう思い込んでいる節はある。空も飛べる気でいる。飛ばないだけで。
できなかったことも、それはやりかたが悪かっただけで、やっぱりできると信じていて、だけどもう二度とやらなくて、永遠に「やらない」ことが増えていって、じきに「やらない」でいるというその存在自体も忘れて。それが大人になるということの側面でもあるのだろう。
子供のとき、…ということは自伝を語ることだから自分を美化しているわけであり、どこまで真実が頭を垂れないでいるのか覚束ないが、ともかく子供のとき、自分は文がうまいんじゃないかと思っていた。なるほど、それは「うまい」んじゃなくて、自分が自分の好きな文を書くだけなのだと気づくのに、幸か不幸か長い時間はかからなかった。
文を書く、気分転換が文を書く、だなんて、悪い冗談だ。