メディアの支配者

メディアの支配者 上

メディアの支配者 上

メディアの支配者 下

メディアの支配者 下

面白いと聞いてたんだが、なかなか読む暇がなくて。フジサンケイグループ(フジテレビ、産経新聞ニッポン放送)の裏側を記したノンフィクション。ちょっと時機を逸してしまった。あの時読んでればますます楽しかったろう。
さて、乱暴にテレビ史をまとめるなら、創成期、街頭テレビ、プロレス中継など→ドラマと報道のTBS(60,70年代)→「楽しくなければテレビじゃない」のフジテレビ(80-90年代)→バラエティー化をさらに進めた日テレ(90-2000年代)→ふたたびフジテレビ、最近テレ朝…といった感じになる、たぶん。
で、サンケイグループは長らく鹿内家の3人、信隆、春雄(信隆の子息、80年代に活躍、早逝)、宏明(信隆の娘婿)がトップとして君臨していたのだが、92年(すでに信隆も死去)、クーデターがおきて宏明が失脚する。クーデターを推し進め、以降の経営を握るのが、何を隠そう件の日枝久なわけです。この辺の工作や根回しは、映像化したいくらいにスリリングで面白い。笑ってられるようなことでもないが。で、日テレに視聴率トップを明け渡していた頃、日枝らはクーデターの経営的後処理におわれ、先日のニッポン放送の子会社化で、ようやく総仕上げ…と思っていた矢先、例の首なし男がのっとり劇をはじめたのだ。
他にも、戦中戦後のドタバタの中での成金劇や、新聞社の内幕や(俗に言う「新聞はインテリが作ってヤクザが売る」)、反共⇔労組といった抗争・思想、翻って売るためには思想なんてどうでもいいという節操の無さ、芸術で金儲け&権威付け(彫刻の森美術館etc)、鈴木都知事丹下健三も絡めてのお台場の土地争奪合戦や、まったく、どうしてこんなにドロドロしてるのよ…。