わが“サル学”一代記

NHKで放映中の番組のテキスト。
河合雅雄は、文化庁長官河合隼雄のお兄さんで、霊長類学者。私の中では、サルといえば京大、京大といえばサルというくらいなんですが(笑)、この方も京大出身の大御所です。御年81才。
どうやらこの人の師匠にあたるのが今西錦司みたいですね。進化論で有名な人です(ただし今西進化論自体はほぼ否定されたとどこかで聞いた)。進化心理学って、どうしても恣意的になるんで、イマイチ信じられないのだが、他に手がないから仕方ない。つまり、ヒトがどうしてこのような解剖学的特徴を持ち、このような生態で生活しているのか(家族構成等)は、サルからの進化の系譜で見るしかないわけで、それには、サルの生態を調べていくしかないわけです。
ほぉーと思ったのが、ヒトの直立歩行に関して。一時期いわれていたのが、イーストサイドストーリーというやつで、「もとは広く森林に覆われていたアフリカだが、大地溝帯の活動で裂け目ができ、大地溝帯の東側は徐々に乾燥し森が衰退、私たちの祖先は樹上から大地に降りて直立二足歩行に移った」なる説。簡単に言えば「草原ができたんで、サルは木から降りて直立歩行を始めた」ということだが、現在ではほぼ否定されている。つまり、進化は必要に迫られて起きるのではなくて、元々形態的変化は起きているのです。そして、気候変動などが起きて、ある特徴が環境にあっているとなると、わーっとひろがるわけで。事実、大地溝帯の活動以前の、ヒトの化石(と思われるもの)が見つかっているのです。で、話は戻りまして河合雅雄がやった調査は、アフリカに行って、サルに小型の発信機をつけて、その生態を調べると言うもの。その時、発信機に一工夫してサルの姿勢が分かるようにした。すると、タイワンザルは24時間のうち19〜20時間は座った姿勢をしていた。座った時、上半身は立っている!と言うわけで、サルはすでに森の中で、腰から上は体を立てることに既に適応しているということになる。つまり直立二足歩行に関しては、上半身と下半身を分けて考えなければならないと言うことです。ちなみに30年以上前の研究。
うーん、ボクのほぉーがあまり伝わっていない気が。他にも、ニホンザル社会の厳格な順位づけや、マントヒヒの力ずくの一夫多妻や、アヌビスヒヒとマントヒヒの異種交雑など、結構面白い話がありました。興味あれば放映を観てみてください。