視聴者が動いた 巨大NHKがなくなる

視聴者が動いた 巨大NHKがなくなる

視聴者が動いた 巨大NHKがなくなる

インパクト云々はともかく、中身は題名と少々違っていて、NHKにとどまらず、メディア全体に目を向けた面白い本だ。散々文句言われているNHKだが、現在のNHKだけを見て、「公共放送だから成しえる良質の問題を作って信頼回復するしかない」とかいったところで、何ら本質は見えてこない。歴史的な系譜の中で考えなければならないし、実は問題の一端は、民放や新聞社にあるんじゃないのか。(そもそも民放各局が新聞社と手を結んでいる時点でおかしい。新聞とテレビが監視・刺激しあうかたちになっていない)。しいては、長年の野党不在の民主政治や、議論や思考を拒否する日本国民にこそ、問題があるのではないのか。
そもそも受信料とは何か、放送法では具体的に定義されていない。番組の対価なのか。もしそう決めるなら、地上波テレビの受信料で、衛星放送を開設するのはおかしいことになる。そのような穴だらけの放送制度を、どのようにNHKは自己武装し、政治や他局とやりあい、巨大組織になったのかを描く2〜4章が出色。7代前田善徳、12代島桂次、14代海老沢勝二らの歴代NHK会長、渡邉恒雄氏家齊一郎(読売新聞、氏家は現日本テレビ代表)、池田勇人佐藤栄作田中角栄中曽根康弘竹下登金丸信といったビックネームが織り成す大河ドラマ!テレビよりも面白いテレビの裏側、壮大な駆け引きを描く一大巨編!痛快!…と楽しんでられないわけで、ちょっとそろそろ本気にならないと、ジャーナリズムは、日本は、まずいよこれ。