晴耕雨読…あれ?梅雨は?

巨象も踊る

巨象も踊る

巨象も踊る。1990年代初め、メインフレームの終焉から危機的な状況にあったIBMのCEOに就任して見事に立て直したガースナーの回顧録。同業のため身につまされるところも多々。きわめて名著。
企業情報システムアーキテクチャ

企業情報システムアーキテクチャ

企業情報システムアーキテクチャ
とても良い本、だが長い、だが網羅的で分かりやすいとてもよい本、だが基礎知識が足りずところどころよく分からない、だがとても良い本。
NHKスペシャル 灼熱アジア FTA・TPP時代に日本は生き残れるのか

NHKスペシャル 灼熱アジア FTA・TPP時代に日本は生き残れるのか

灼熱アジアNHKスペシャルの書籍版。日本企業はアジアにうってでて極めて厳しい競争の中で生き残るをはかるしかない。暗くなる。がんばろう日本。ジャパンショック。暗くなる。がんばろう日本。
リーダーになる[増補改訂版]

リーダーになる[増補改訂版]

ウォレン・ベニスの有名な本。リーダー不在の日本。がんばろう日本。
全体最適の問題解決入門―「木を見て森も見る」思考プロセスを身につけよう!

全体最適の問題解決入門―「木を見て森も見る」思考プロセスを身につけよう!

最短で達成する 全体最適のプロジェクトマネジメント

最短で達成する 全体最適のプロジェクトマネジメント

ザ・ゴールで知られるゴールドラット博士の考え方だが、元はというとTOYOTA大野耐一さんの考え方を下敷きにしているらしいですね。ゴールドラット博士は2011/6死去。合掌。
BABOK超入門

BABOK超入門

BABOK超入門
百年アーキテクチャ 接続可能な情報システムの条件

百年アーキテクチャ 接続可能な情報システムの条件

百年コンピュータ

五月雨

仕事で成長したい5%の日本人へ (新潮新書)

仕事で成長したい5%の日本人へ (新潮新書)

マイ・ビジネス・ノート (文春文庫)

マイ・ビジネス・ノート (文春文庫)

ビジネスで勝つ英語―こんな時は、こう切り返せ! (新潮OH!文庫)

ビジネスで勝つ英語―こんな時は、こう切り返せ! (新潮OH!文庫)

若くして日本を飛び出し、欧州で「個」として渡り合ってきた今北純一氏の著作。個人的にとても興味深かったが、Amazonのレビューとかをみると、必ずしも万人受けしていないようで寂しい。特に「ビジネスで勝つ英語」あたりを読むと、「英国王のスピーチ」を観た時も思ったが、ヨーロッパの人って、皮肉というか、ユーモアというか、気のきいたことというか、とにかく一言言わないと気がすまない感じがする。
田舎町のリストランテ、頑張る

田舎町のリストランテ、頑張る

東京に支店があります。美味しいです。
たぶん料理って足し算と引き算と掛け算しかなくて、味を足せば美味しくなるのは当たり前で、足し算は簡単。食材を正確に判断して、的確にうまみだけを残す引き算、この食材とこの食材を一緒にこう調理してやると個々で食べるより互いが引き立つ掛け算、これは難しい。
引き算と掛け算の考え方、物流が発達して新鮮な素材が手に入る今、過剰なソースを否定し産地直結で素材を活かす考え方、地方色・その日の状態・お客さんの好みに合わせた多様性、このあたりは今後のスタンダードになる気がする。
たとえば「何回握っても同じ大きさ同じ味の鮨」を誇っていた風潮からの変革は、オートメーションによる画一的大量生産から、One to Oneの視点へと変遷する産業界の転換とも重なる。
パピヨン-製作30周年記念特別版- [DVD]

パピヨン-製作30周年記念特別版- [DVD]

スティーブ・マックイーンがアクションスターから演技派へ飛躍した作品だとにらんでいる。
銀色の雨 [DVD]

銀色の雨 [DVD]

大島優子はやっぱり可愛いと思う。羽生さんの近作。相変わらず面白かった。あんまり新鮮味を感じなかったのは、すでにtwitterでフォローしていて実感しているからか、世代の問題か。
国家の命運 (新潮新書)

国家の命運 (新潮新書)

藪中三十二。面白かった。
マスメディアによる監視・批判が国益に反するという逆説。(一定の成果を出し続けないとマスコミを通した世間から納得されないという国内事情が、外交交渉上、相手国のアドバンテージとなってしまう)。今北純一氏ともつながるが、というか言い古されたことだが、論理的に主張していくことの唯一無二な重要さ。
世界のグロービッシュ ─1500語で通じる驚異の英語術

世界のグロービッシュ ─1500語で通じる驚異の英語術

同時通訳おもしろ話 (講談社プラスアルファ新書)

同時通訳おもしろ話 (講談社プラスアルファ新書)

リーダーになる人に知っておいてほしいこと

リーダーになる人に知っておいてほしいこと

そのときあの人はいくつ?

そのときあの人はいくつ?

小さなパリジェンヌ

小さなパリジェンヌ

官邸敗北

官邸敗北

実戦!問題解決法

実戦!問題解決法

安全と嘘

安全とは、つまるところ確率論でしかないのだと思う。
すなわち、前提と論理的な演繹で定義される事象の発生確率が、よくある例でいえば自分の頭の上に隕石が落ちてくる可能性よりも低ければ、まぁ安全だろうと判断してよい、となる。
言いかえれば、新しい事実や検討漏れが判明する度にその定義が容易に覆るわけで、何か問題が起これば字義通り「想定外」であり、そのあたりを「いままで嘘をついていた」と断定してしまうのはちょっと後だしじゃんけん風ではないかという気がする。
要は常に複数の視点から再検討され対処され続けるべきもので、反省されるべき主眼もそのへんに置かれるべきではないのか。賛成派だったか反対派だったか(あるいは今後どちらの立場に立つのか)という二元論は本質的ではなく、(だって思考回路の前提がたりなかったのだから)、事が起きた後となっては「なんで気づかなかったんだ」「あの時指摘されていたじゃないか」との声に関係者はこうべをたれる他ないのだろうが、実際問題事前に見えない可能性に投資する判断はなかなか難しいのだろうと一般論としては思う。
危惧するのは、「絶対安全なんですか」「絶対安全です」や、「絶対安全だって言ってたのに問題が起きたということはずっとウソだったということですね」や、「あいつらクソであいつらが全部悪い」というものの言い方が、思考ストップを招かないか、ということだ。
「絶対安全」の呪縛が、想定外の事態への対処や訓練を制限しなかったか。「絶対安全」であるため、「絶対安全」かどうかが判断されるまでは対外発表を避けるマインドが、隠蔽体質として助長されなかったか。
当事者もわれわれも、考え方を変えなければならないのは、リスクは共有されるべきで、リスクはわれわれ自分たちで負わなければならないという転換だろう。
基準を超えたらその基準の意味や影響の検討もそこそこにたちどころにとりあえず広範囲で出荷停止にしちゃうのも、ひとたび避難区域を設定するとなかなか帰っていいよといえないのも、「絶対安全」を政府が保証しなければならないという呪縛によるものに見えてくる。
今回分かったのは、「お墨付き」がいい迷惑だということではないか。必要なのは判断基準と根拠となるような正確な情報である。1年間毎日摂取しなければ問題ない程度なら、よく洗ってほうれん草を食べるし深呼吸もする、かどうかは個人の判断にゆだねればよい。
という言説が、ある程度安全な場所に居るという高みの見物から生じていることも、直接の被害者にしてみればそんな悠長なことを言っていられないことも、怒りが人を支えることがあることも、とりあえず怒っとくことが世の中を動かす場合があることも、影響がでかすぎるだけにコスト度外視であらゆる手立てを打たなければならない種類の事案だったことも、何か起きた後の影響が予防にかかるそれよりもはるかに大きいことも、一応は認識しているつもりでいる。

映画2011(1st quarter)

http://kingsspeech.gaga.ne.jp/
話の展開自体はよくある感じだが、素直に楽しんだ。今北純一さんの本で、欧米人はちょっとした会話でもうまく切り返す(し、それはジャブのようで相手をさぐっている)と読んだことがあるが、なるほど、いちいち実ににくい。
吃音に悩む国王(当時は即位前)が、言語聴覚士に相談に行く際、無言の間が続いた後、聴覚士「皇族の方と話す時は、先に話されるのを待つべきなのかと思ったのですが」、国王「…わたしが、…話すのを待っていると、…長くなるぞ」。
ところで奥様が熊谷真実にちょっと似てると思う。

  • 人生万歳

http://jinsei-banzai.com/pc/
ウディアレンの新作にして、恵比寿ガーデンシネマ最後の作品。
ヒルで軽妙洒脱な会話、毎度お馴染みウディアレン節で大いに笑ったが、主人公が観客に向かって語りかけ「自分だけは全体を見渡している」と豪語したり、その初老の物理学者と若い娘が恋愛して、最後には「WHATEVER WORKS!」と開き直るあたり、アレンの自意識のあらわれのようで、という皮肉な見方もできるかと。

トイレット [DVD]

トイレット [DVD]

めがね(3枚組) [DVD]

めがね(3枚組) [DVD]

トイレット。荻上直子さんの作品は初見。面白いです。地震だってなるとトイレットペーパー買い占めたり、日本人のトイレに対する執着は強いのかもしれない。。。めがねも続けて観た。
L.A.コンフィデンシャル [DVD]

L.A.コンフィデンシャル [DVD]

LAコンフィデンシャル。暗い時には暗い映画を、と思って観た。サスペンス、恋愛、駆け引き、アクションと各要素がうまくまとまっている。それにしても警部役は「24」のジャックバウアーのお父さんだった人で、出てくるなり何か裏がある人じゃないかと胡散臭く見えてしまった。ハングオーバー。某本にて絶賛されていたが、うーんって言う感じ。下品で即物的アメリカンギャグは好かない。結婚式直前、独身最後のハメを外そうと悪友たちとラスベガスに繰り出しどんちゃんさわぎ…で翌朝、部屋の中は荒れ放題で赤ん坊や虎までいて、肝心の新郎が消えてしまったのだが、誰もが全く記憶が無い…という始まりで、なんか面白そうな設定なのだが、ひとつひとつの種明かしが単発で単純で必然性が無く、伏線が交差していないのである。三谷幸喜伊坂幸太郎あたりだとうまくまとめてくれる気が。

ふだん映画やテレビを見てもあんまり感情移入することはないのだが、たとえば津波に流された街をのぞむ高台から、少女が、「おかーさーん」と涙を流しながら叫ぶ映像にはもらい泣きしそうになり、つらくてつらくて、直視できない。
本当に悲しいことです。ことばがありません。
未曾有の、とか、戦後最大の、とか、壊滅的、とか、国難、とか、おどろおどろしい枕ことばにもいつしか慣れてきて、めまぐるしくもそれが日常になっていく日常を過ごしながら、ふと外国人が盛んに国外退避をしているというニュースを観ると、なるほど、煙をあげている原発から150マイルほどのTokyoで、余震もあり、電車は混乱し、いつ消えるかわからない電気、真っ暗な駅前、おまけにAERAじゃないが本当に放射能がきておちおち水も飲めない、これから本当に大丈夫なのか日本人が母国語のニュースを観たって判然としないのだからとりあえず逃げ出すのも無理はないわけで、改めてたいへんな事態なのだと思う。
海外のニュースでは、炊き出しにもきちんと並んだり、相手を気遣う、秩序や思いやりの文化が注目されていると聞く。このあたりはわれらがニッポンの面目躍如だが(とはいえ火事場泥棒とか募金箱をくすねる輩もいるようで、いい加減にしろ恥を知れと怒鳴り散らしたいところであるものの、こうした文化がいつまで続くのかは個人的に疑問である)、しかしこうした美徳も、どうも出る杭を打ち思考ストップする妙な国民性と表裏なのではないか、とこのごろ思えてきた。
呆然として日和ったり脅えたりで忙しくまともな思考回路をたどらなかった震災直後から、すこし時間がたって落ち着いて考えてみると、色々と腑に落ちないことがある。
 ※  ※
そもそも「自粛しろ、被災者のことを考えろ」という(大抵被災者じゃない人の)発言も、「自分に出来ることがあれば喜んでしよう、節電に励もう、停電も受け入れよう」という発言も、どちらも考えることを放棄して白旗をあげている点では変わりが無いのではないかという気がしてならない。
だいたい「節電」という言葉がいただけない。渋谷駅を降りれば真っ暗でどこも店はあいていず、いつ電気や電車が止まるか知らんからサーバやら機械やらを無理矢理止めてさっさと帰宅させられているのであり、これは節約の範疇ではない、国民生活と経済活動を放棄しろ、と言っているのである。1週間なら構わないよ、だが短期的にも火力発電所が復活するまでの数か月、長期的には原子力に変わる電力を確保できるまでは数年単位でこれが続くのだ。ましてはいま3月は決算期、この状況でもつわけがないではないか。倒産する会社が続出したら復興費用だって寄付だってままならないのである。
基本電気は保存できないから、燃料の観点をさておけば、問題は総量ではなくピークであるはずだ。つまり、ピーク時にいかに限界をオーバーさせないかが争点となるべきで(この時期のピークは18:00-19:00頃だそうだ)、夜中に暖房をつけずに風邪をひいて昼間電気毛布を出してきて寝ているとか、今まで深夜働いていた人たちを、早く帰りなさいとわざわざ帰宅ラッシュに殺到させて各々の活動をさせたら元も子もないのではなかろうか。たとえば仮に電車の消費電力が大きいのだとしたら、電車運行はピーク時4割減らします、その代わり早朝深夜の時間や本数を増やすから、サマータイムのように就業時間をずらしてください、とか、極端な話、製造系の工場は深夜操業にするとか、停電時間じゃなくて休日を輪番にするとか、これら思いつき案の実現可否はともかく、とにかくそういう観点から知恵を出し合いたい。
東京電力は停電地域を25のグループに細分化すると発表し、不公平があってはいけないから23区も電気を止めようと某政治家さんは言っているらしいが、そもそも問いのたて方が間違っているわけで、いちど既定路線ができるとその枠の中でしか考えられないのはいかにも貧しい、仮にも電力会社や経済と産業の大臣を名乗るなら、電気を止めない方向に旗を振ってしかるべきと思う。
 ※  ※
身を賭して任務に当たる最前線の方には、ただただ無事と成功を祈るばかりだし、今はまだこんな話をする段階ではないのかもしれない。SEのハシクレが、ちょっとした障害対応を担当した経験で物を言うのも何ともおこがましい。それでも、それでも、初期動作に成功したならば、もう少し違った結果になっていたのではないかと思わずにはいられないのが原発事故である。
自分が理解した範囲では、今回の最大の不幸にして根本原因は、津波によって電力系統が待機系も含め全てストップしたことで、その影響は、(1)あらゆる計器や照明が使用不能になったことであり、(2)冷却機能を失ったことであった。その結果、水素爆発を阻止できず、これもまた不幸なことに使用済み燃料の処理施設が無いため施設内に仮置きされていた使用済み燃料起因の放射性物質が拡散してしまった。
今となってはこう整理できるものの、初期の報道で影響(2)の冷却については言及されていたはずだが、根本原因「電力ストップ」と影響(1)「計器照明使用不能」はあまり耳にした記憶はなく、少なくとも私がその内容を理解したのは、3/13(日)の大前研一氏の解説であった(http://p.tl/HhaA)。
現場が混乱していたのか、東電幹部や政府まで情報が行っていなかったのか、報道機関が咀嚼できていなかったのか、単なる自分の情報リテラシー不足かはおぼつかないが、震災直後の初期の状況からして既に「保守運用」フェーズの対応者では完全に手に負えないことが今となっては明らかだ。ならば旗色が悪くなって逃げ出さざるをえなくな(って恫喝され)るずっと前から情報を開示して、ALL JAPAN、のみならず世界中から英智を結集しなくてはならなかったのだろう。すなわち、同原発の設計意図から構造までを熟知しているかつての責任者であり、原子炉自体を設計したGEの担当者であり、あるいは、電源が無いなら非常電源のあらゆる手段であり(アメリカGE製のため400V,6000Vと電圧が日本とは異なるそうだ)、冷却するためのあらゆる手段であり(消防庁とかに声がかかるまでに大分かかりましたね)、測定のためのあらゆる手段であり(たとえば近寄れないなら赤外線温度計で測れないの?とかは素人意見ですが)、放射能が予想されるなら無人で偵察・撮影・測定できる機器であり、などなど無駄も覚悟で手配する。同時に、避難、リスクの説明、放射線の到達範囲の説明、ゆくゆくは農作物海産物への影響への対処…と予想されるタスクは多々ある。
何もこれを1人でこなす必要はない。大げさなことを言えば、現場レベルの立ち位置でなければ原子力発電所の専門家でなくてもある程度こなせるかもしれない、これが必要だ、どうなっている、と分かっている人に問いを投げかけ、把握し、既存の枠組みにとらわれずに必要な担当者、機材を呼びあつめ、配置する旗振り役こそが必要だった。同時に、状況と対策リスクを、根拠もふくめ平易なことばで伝えて、こっちは安全だと導いてくれる緑のおばさんが必要だった。対象は日本にとどまらない、原子力発電所は米国はじめ世界の関心事だから、海外に対しても情報を過不足なくリアルタイムで発信する必要があった。そんな余裕が無かったなら海外の専門家に一緒に入ってもらって共通見解をだしていけばよかった。
所詮門外漢の浅知恵かもしれないが、そう思えてならない。
 ※  ※
そう、必要なのはリーダーである。「全体の二割が走り始めると、残りの八割が一気に同じ方向に走り出す」バッファローの群れ的国民に、あっちに進めと方向を指し示せる革新の旗手である。
原発問題にしても、経産省防衛省文科省消防庁、警視庁と各省庁が対応していることからも分かるように、危機には縦割りや縄張りなんて気にしていられずALL JAPANで臨まなければ太刀打ちできない。医師免許がどうとかメンツがどうとか寝惚けたことをいってられなくて、実際必要な援助や英智はたとえ海外からでも自由に受け入れている。制度硬直と鎖国では乗り切れないのである。
ついでに言えば、地震津波が起こる前から、財政、経済その他、日本は危機的状況であった。
子ども手当とか高校無償化とか、今さら引っ込められない愚策はもうこの際どさくさにまぎれて一切合財やめて、ついでにどさくさにまぎれて行政法人とか天下り先の予算は全部削って復興費用に充て、復興が終わったらスリムな体になればいい。
それが、この期に及んで赤字国債だなんて、仮にも国民を代表した政治家の言うことか。国債暴落のトリガをひいてとどめをさす気か。日本国債がデフォルトしたら東日本にとどまらない、日本沈没である。
国単位で未来を思う機運が、疲労と苛立ちで消える前に、義損金がいつのまにか霧と消える前に、何とか革新への扉を開けないものか。
 ※  ※
「口ばっかりだしやがって、実際にてめぇが何したっていうんだ、文句があったら放射能あびながら働いてこい」という声にはこうべをたれる他ないが、感情論ではなく、少なくとも自分としては建設的と思っている発言なら、WWWの片隅でだろうと発することに意味があるんじゃないか、報道機関に任せるだけではなくて、と最近は思っている。
そしてお子様ランチの上の小さな日の丸レベルでいいから、きちんと自分で振れるように精進しようと、柄にもないことを考えてもいる。

暇も元気もないこのごろ、唐突にAKBについて考える。

「握手券や投票権といった特典を付けることにより、熱心なファンが同じ商品を複数買うように誘導する」いわゆるAKB商法、個人的にはそんなに目くじらをたてるものでもなく、至極まっとうな気がする。
2010年のCD売上トップ10が嵐とAKB48だった、だけどAKBは特典目当ての購入者が居るから正確な数字ではない…といった声があるが、的外れで、あらためて指摘するまでもなく、今の世の中、音楽を聴くにあたってCDを買うという選択肢を採用するインセンティブはどこにもない。YoutubeiTunesTSUTAYAあたりで事足りる。
随分前から、CDという「モノ」の必然性はなくなってきた。では(コンテンツ…というと曖昧だから無粋に「データ」と割り切ってしまおう)音楽データを売る時代なのかと言うと、それもまた過去のものになりつつある気がする。どこで読んだか忘れた受け売りだが、「権利」を売っているととらえるべきである。G-mail等々、クラウド時代のサービスは、端末に依存しない。パソコン、ケータイ、どこからでも見れる。一度Web上である曲を買って聴く権利を得たら、データをおとしたウォークマンが壊れても、再度聴けないと納得されない、そもそもネットワークがもう少し発達すればローカルにおとす必要さえなくなる…、そんな趨勢だろう。
プロモーション等々を担っているのがCD会社であるなど、音楽業界がまだCDを基盤とした構造をしているから、CDに特典を付けているだけであって、特典そのものの権利を売っていると考えれば、(必要なくなってCDが廃棄されてエコじゃないとか転売可能だとかの問題があるとはいえ)、至極まっとうな売り方である。ま、あくまでも特典という形にしないと、さすがに「お金出した分女の子の手を握れます」っていうのはえげつないしね。
どんなに規模が大きくなっても握手会を続け「会いに行けるアイドル」のコンセプトを貫いているのは、そのあたりが生命線であることを運営者が認識しているからなのだろう。
 ※  ※
特典を付けないと売れない、歌手なら歌で勝負しろ、口パクのくせに…という批判もまた的外れで、そもそも(少なくとも当初からの)ファンは彼女たちに華麗なパフォーマンスを期待してはいまい。歌と踊りが観たければ劇団四季や宝塚に行けばいい。
「推しメン」と呼ばれるメンバーを選んで、応援と言う名の投資をして、彼女が成長し活躍していく姿を見守るのは、プレステ上で三国志をやっている感覚と本質的に何ら変わりはない。
決定的なアイドル不在の昨今、言わば繰り上げ当選のように雑誌の表紙を飾るようになっていた彼女たちが、一般的に認知されてきた今、当初からのファンは恐らく感慨と寂しさを抱えていることだろう。
PSPで「恋愛ゲーム」ができて大ヒットしているのも、原点が秋葉原ドン・キホーテビルであることも、偶然ではあるまい。
 ※  ※
楽曲のほうはといえば、そこは秋元康氏の面目躍如、I want you、I need you、I love you、ドンドン近づくその距離にMAX ハイテンション…って、中学生が作ったんじゃないんだから…という単純明快さ、そこは本気を出せば「川の流れのように」を書いちゃう人だから百も承知で、行間を読めと言った風情もヘチマもない分かりやすさですそ野を広げているのだろう。
その分(これも受け売りだが)歌詞が男性…というか男の子目線で、つまりは男心を女の子が唄うという倒錯があるわけで、そのひねりがミソである。
 ※  ※
年も年だし、長々書いてきたほどの思い入れはないが、(私を知る人にとっては意外かもしれないが)モー娘。をはじめ、若い女性が元気に歌って踊って…というのには意外と好意的である。
競争のないぬるま湯のゆとり世代が、寝る間も惜しんで、人気投票などという酷な場にさらされて、それでも笑顔を振りまいて、その上「ブームはさる。だから個々が努力をして実力をつけなければならない」という旨の冷静で冷酷な現実に向き合っていうのを観て、あるいは、たとえば「わかったふりして知ったかぶりで夢も久しぶり」というくだりを聴いて、まぁ自分もまた頑張ろうと気分を切り替えるのも、そう悪いことではなかろう。

だいたい月1本ペースで映画館

http://wwws.warnerbros.co.jp/chushingura/main.html
個人的にこういう押しつけがましい感じの映画ってあまり好みではないのよね。勝手に性格悪い感じの別のラストを想像したりしていた。美術の西岡善信さん、撮影の長沼六男さん、編集の長田千鶴子さん、みんな有名人。

http://harrypotter.warnerbros.co.jp/hp7a/
内容よりもアドベンチャーなのは、第1作目しか観てない&原作読んでないのに、いきなり観に行ったことでしょう。ま、分からないなりに楽しみましたが。

悪人 (特典DVD付2枚組) [Blu-ray]

悪人 (特典DVD付2枚組) [Blu-ray]

悪人。うーん。ゴールデンスランバー。原作を読んでいないが、別の伊坂作品は読んでいてあの感じ嫌いじゃないという人(例:私)には面白いんじゃないかと思う。突拍子もない設定、人を食ったような展開、不思議な伏線と解決、(男受けしそうな竹内結子の仕草)、と、単純に楽しんだ。